病院で「坐骨神経痛ですね」と言われて当接骨院に来院される方が多いですが、坐骨神経痛とは、病名ではなく、何かしらの病気(病態)がある事で引き起こされる症状の事なんです。
例えば・・・
- 胃潰瘍があることで胃が痛い
- 〇〇という病気による坐骨神経痛
みたいな感じなんです。
今回は、上記でいう「〇〇」はどのような病気があるのかなどの原因を説明するとともに、坐骨神経痛でやってはいけないことや、症状の特徴、フルケア狭山接骨院の坐骨神経痛の治療方法などについてご紹介します。
坐骨神経痛とは
坐骨神経について
坐骨神経は腰から始まり、足先までつながっている神経の総称です。
骨盤の下の方にある坐骨のすぐ横を通っているので、そう呼ばれています。
身体の中にある神経で、一番太いのが坐骨神経なんです。なんと一番太い場所では、親指に匹敵するほどの太さがある事が分っています。
そして、坐骨神経の線維は、一本で構成されているものではなく、何本もの神経の線維が束ねられて構成されています。
その為、神経を切ると、その断面がハチの巣の様に、区分けされていて、神経一本一本の断面が確認できます。エコーなどでも神経を輪切りに観察する事も出来るんですよ。
圧迫されるだけでは神経痛は起こらない?
よく、神経が圧迫される事で引き起こされると言われていましたが、近年分かってきたことは、どうやら「圧迫されるだけでは神経痛が起きない」という事。
最近のデータ等では、圧迫や挟み込みを「きっかけ」として、神経が引っ張られたり、滑りが悪くなっていたり、血液の供給がままならず、酸欠が伴うと、坐骨神経痛になる事が分ってきています。
原因について
始めに、【坐骨神経痛そのものは病名ではなく、何かしらの病気(病態)がある事で引き起こされる症状の事】というお話をしましたが、ここからは坐骨神経になってしまう病気(病態)について解説していきます。
坐骨神経痛の症状が出現しうる病気(病態)は主に以下のようなものが挙げられます。
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)
椎間板ヘルニア
正式な病名は腰椎椎間板ヘルニアと言います。
ぎっくり腰のページでもお話したのですが「ヘルニア」という言葉の意味は、本来あるべき位置から逸脱して飛び出てしまった状態のことを言います。
一つ一つの背骨の間には椎間板というクッションのような役目のものがあります。
外側は何層にもおよび線維で出来た壁が有り、その壁の中身はゼリー状の髄核(ずいかく)と呼ばれる組織で構成されています。
重量物を無理な姿勢で持ったり、経過年数により、脆くなってしまったり、線維の壁に傷が入り、中身が飛び出して、すぐそばを通る神経を圧迫して、急激な腰部の痛みや、下半身(おしり、もも裏、すねの外側)に痛みや痺れがを引き起こしてしまう。つまり坐骨神経痛の原因の代表格なのです。
脊柱管狭窄症
背骨の中には、脳から直接繋がっている神経があり、腰の部分では「馬尾神経」といいます。
脊柱管狭窄症とは、文字の通り、馬尾神経の通り道(脊柱管)が狭くなり挟み込まれてしまう状態を意味します。
脊柱管の内壁には靭帯が存在します。それが肥厚すると脊柱管も細くなってしまうのです。また、前述の椎間板ヘルニアも飛び出る方向によっては、脊柱管を狭くしてしまう原因にもなります。
梨状筋症候群
梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)という病状でも坐骨神経痛を起こすことがあります。
坐骨神経は、腰の骨の横から斜め後ろ辺りにある椎間孔(ついかんこう)というトンネルから出てきて、坐骨の周辺を通っていく為、坐骨神経という名前がついています。
坐骨周辺を通る際に、筋肉の間を縫うように降りていきます。その際に、ちょうど坐骨神経を挟み込む関係になっているのが梨状筋なのです。
通常ですと柔らかく、しなやかな筋肉ですが、強度の強い負担を掛けたり、長時間のデスクワークや、長時間ドライブ、などによっても梨状筋が硬くなり、坐骨神経を挟み込む原因になってしまう事があるのです。
梨状筋症候群は、レントゲンやMRIの検査などで異常が見つからなかった際に、もしかしたら、梨状筋由来の症状なのかな?と浮かび上がっていく事が多いですね。
その他の原因
その他の坐骨神経痛を引き起こしてしまう病態としては、
腰の骨や椎間板などの加齢的変化により、変形してしまった骨などが神経を圧迫してしまう変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)、10代の頃に過度なスポーツ動作のくり返しなどによって起こる疲労骨折により発症する腰椎分離症(ようついぶんりしょう)・腰椎すべり症(ようついすべりしょう)などがあります。
また、椎間板ヘルニアなどの神経に対して1カ所だけが圧迫の要因になってしまっている状態ではなく、椎間板ヘルニア+梨状筋症候群の様に、複合的に圧迫などのストレスが加わってしまっている状態であるダブルクラッシュ症候群(しょうこうぐん)も考えられます。
症状の特徴
坐骨神経への影響で出てしまう症状としては、主に以下のようなものがみられます。
- ビリビリと電気が走るような痛み
- ピリピリといつまでも続く痺れ
- 触られた感覚がない、もしくは鈍感になっている
- 力が入りにくくなり、スリッパがコテンと落ちてしまう
- つま先立ちが出来なくなってしまう
- ぶつけた訳でもないのに、腰周辺、おしり、ももの裏側、すねの外側などに痛みを感じる
- 腰から足が冷たく感じる
また、以下の症状が伴っている場合はより一層注意が必要です。
- 数十メートルしか歩けない
- ビリビリ痛くて座っている事すら困難な状態
- 大便、小便などの排泄等に問題が生じている
上記の症状がある場合は、迷わず早急に医療機関に行きましょう。
坐骨神経痛でやってはいけないこと
坐骨神経痛にならないように、または悪化させないように注意しなければならないことは以下の通りです。
- 長時間の座りっぱなし
- 無理な姿勢で重量物を持ち上げる
- 無理なストレッチ
- 体重の増加
- 柔らかすぎる寝具での睡眠
- 身体を冷やす
簡単に一つずつ説明していきます。
長時間の座りっぱなし
上図は、スウェーデンの整形外科医ナッケムソンが、三番目の椎間板の内圧を調べた際のデータです。
直立した状態を100とした時に、真っすぐ綺麗に腰掛けた際の、椎間板の内圧は140です。その姿勢から前かがみの座り方が変わってしまうだけで、185になります。
綺麗な姿勢で腰掛けているだけで、立っている時より1.4倍、前かがみでの腰掛けでは約1.8倍・・・座り方一つでこれだけ腰にかかる負担が違ってくるのです。
無理な姿勢で重量物を持ち上げる
直立した状態を100とした時に、下半身をしっかり使わずに腰から曲げて物を持つと220になると実験結果が出ています。立っている時の2.2倍の負担がかかっているという事なんですよね。
物を持とうと前かがみになった瞬間に腰を痛めやすいという話は、このデータからも想像できますよね。
こちらは「ぎっくり腰」にも当てはまりますので、物を持ち上げる際の姿勢や体の使い方は気をつける必要があります。
無理なストレッチ
神経は引っ張られる事にもデリケートに反応してしまいます。
「ストレッチをして、余計に痛み・痺れが増してしまいました」これも良く聞くお話しです。
痛いな、痺れを感じる・・・そんなストレッチは避けましょう。
体重の増加
大きな体重増加は腰周辺の負担を大きくしてしまいます。
単純に体重が増加することで、クッションである椎間板への負担が増大する事はイメージが出来ると思います。
単に椎間板だけでなく、腰周辺に脂肪がつき、お腹が重くなると重心は前に移動し、腰が反りぎみになってしまいます。
過度に腰を反る=腰の負担が増える
坐骨神経にとって体重増加は良いことが一つもありません。
柔らかすぎ寝具での睡眠
柔らかすぎる寝具は、仰向けでねても、横向きに寝ても、身体を一直線に保つことが出来ません。沈み込みすぎて、腰の反りが強調されてしまったり、横向きでも骨盤が不自然に傾いた状態になってしまいます。
適度な硬さのある寝返りがしやすい布団・マットレスが理想的かと考えています。
身体を冷やす
痛みなど、様々な情報を脳に伝える神経。
痛みの情報と「冷えた」という情報が同じ神経で伝えられているという事実はご存知ですか?
冷やし続けてしまう事は、痛みを感じ続けてしまうのと同じです。冷やされ続けると、痛いという情報で脳がパンクして、より痛みや痺れに対して過敏になってしまいます。
また冷えは、筋肉内の温度も下がりやすく、結果的に硬くなり、血流も滞りやすくなり痛みや痺れが増してしまいます。
フルケア狭山接骨院の治療内容
当接骨院では、まず大前提でしっかりと検査をし、坐骨神経痛の原因を把握してから最適な治療をプログラムします。
そして、痛みには痛みを軽減させるための最新治療機器を。
筋肉や関節の硬さにはメディカルマッサージを。
普段の身体に使い方や癖に原因がある方は、正しい身体の使い方の指導を。また、筋力不足が考えらる症状にはトレーニング指導もいたします。
①正確な検査
姿勢分析
外から見た立ち方や座り方を撮影し、重心の位置・骨格の歪み・姿勢のクセなどを分析します。
超音波画像(エコー)検査
姿勢分析に対し、こちらは痛みや不調を起こしている部分の組織を直接内側から確認する検査です。
骨や靭帯、筋肉、その他の組織の異常を画像で一緒に見ながらどうなっているのかを確認します。
動作分析・整形外科学的検査
実際に坐骨神経痛の原因を、関節の動きや筋肉や神経の反応から整形外科学的な検査でさらに明確化していきます。
このように、まずしっかりと坐骨神経痛の原因を組織レベルで明確にしてから実際の治療に進みます。
②症状への最適な治療
フルケア狭山接骨院は、以下の治療メニューを組み合わせて、一人一人の原因に合った最適な坐骨神経痛治療を行います。
ハイボルト治療
坐骨神経痛による痛みや痺れでお悩みの場合、痛み・痺れに特化した専用の最新治療器で、まずはその辛い症状を軽減させます。
「痛み」には特に最適で効果的な治療です。
骨格矯正
歪みが残っていると、痛みが改善されても再発の可能性が残ります。
骨格のズレを正しい位置に戻すことで、根本的な解決に導きます。
メディカルマッサージ
筋肉が硬い状態は、古い血流が停滞しています。
マッサージにより古い老廃物を排出し、坐骨神経にかかっている負担を軽減します。
長時間の同じ姿勢による坐骨神経痛にはメディカルマッサージは効果的な施術です。
③正しい体の使い方の指導
検査によって明確になった「間違えた体の使い方」を指導し正すことで、根本的な改善に繋がります。
正しい体の使い方が身につくと、将来的にも痛めにくい体を手に入れることができます。
坐骨神経痛のよくある質問
Q:痛みが楽になる寝方はありますか?
A:一つ目は、仰向けで膝を90程度に曲げ、ひざの下に使っていない毛布や布団を丸めて入れる方法です。
膝と股関節が曲がり脱力しやすい形になるので、これが楽だと感じる方も多いでしょう。
場合によってはこの寝方でも痛みを感じる事があります。そんな方はもう一つの方法をご紹介します。
二つ目は、横向きで膝を曲げて寝る方法です。
その際に、膝と膝の間に、抱き枕やクッションを挟むと、両足が綺麗に揃い、骨盤が傾かなくなる為、より安定した楽な状態で休む事が出来ます。
Q:痛みが楽になる座り方はありますか?
A:坐骨神経痛が出ている原因にもよりますが、背筋の伸びた綺麗な座り方をするのが一番神経に対する負担が少ない座り方になります。
Q:痛いところに湿布を貼ってもいいですか?
A:神経痛の場合、痛みがあるところに原因がないことがほとんどです。腰からくる症状ですので、腰に貼ることをおすすめします。
Q:温めても大丈夫ですか?
A:痛みが急で、鋭い痛みがあるような急性期の症状では、冷やす事が有効なこともありますが、大半の症状は温めることで、症状が和らぐ事が多いです。
また、血流が悪くなり酸欠状態になるのも坐骨神経痛の誘因になります。温めて血流を良くしたあげましょう!
Q:産後になりやすいと聞きましたが本当でしょうか?
A:産後は、あらゆる面で腰などに負担が多くなる時です。慎重な対応が必要ですので、不安な方はお気軽にご相談ください。
※今回は坐骨神経痛の内容ですが、腰痛全般に関する記事はこちらからご覧いただけます。