今や腰痛は国民病と評されており、その中での代表格ともいえばやはり、ぎっくり腰ですよね。皆さんも人生の中で一度くらい経験があるのではないでしょうか?
ちょっとした動作をきっかけに「ピキっ」ときて動けなくなるような症状という方が多いように思えます。
時に症状が長い期間に及び、皆さんの充実した毎日を地獄のような日々に変えてしまうぎっくり腰。
ただ、このぎっくり腰は、適切な応急処置や対処法を行うことで、大きな問題に至らない事も可能で、早い段階での対応が早期解決の決め手です。
今回は、そもそもぎっくり腰とは何なのかに加え、原因や特徴、フルケア狭山接骨院での治療方法などもご紹介します。
ぎっくり腰とは
ぎっくり腰とは通称であり、本当の名前は「急性腰痛症」と言われるものです。
ぎっくり腰になってしまうと本当に辛いですよね。私も実は一度だけ経験があります。
突然、何の前触れもなくやってくるので、ドイツ語では「魔女の一撃」なんて呼ばれたりしています。とても嫌な一撃ですね。
来院する患者さんでも、以下のような場面などで負傷する方が多い傾向にあります。
- くしゃみをしたら
- 床に落ちた物を拾おうとした瞬間
- 洗面台で前屈みになった時
- スポーツの動作中に
なぜこのような時にぎっくり腰になってしまうのでしょうか。次に、具体的なぎっくり腰の原因について説明していきます。
腰回りの構造と組織
腰の痛みの原因の歴史
ぎっくり腰を含め、腰痛の原因は実に様々です。広義に解釈すると腰痛そのものは、2012年初版「腰痛診療ガイドライン」では、欧米の権威ある雑誌に発表された論文を引用し、「非特異的腰痛が、腰痛の85%を占める」と記載されていました。
2012年あたりまでは、85%も原因のハッキリしない腰痛があるといわれてきていたんです。
その後、2019年改訂第2版「腰痛診療ガイドライン」では、
- 椎間関節(腰を反らせるとぶつかり合う関節)22%
- 筋・筋膜性(筋肉や筋肉を包み込んでいる膜など)18%
- 椎間板性(一つ一つの腰骨の間にあるクッション)13%
- 狭窄性(神経の入れ物である腰骨の部屋が狭くなってしまっている状態)11%
- 椎間板ヘルニア性(一つ一つの腰骨の間にあるクッションが飛び出てしまっている状態)7%
- 仙腸関節性(骨盤の中にある関節)6%、
このように筋肉・筋膜・関節・靭帯など、明確に原因が特定され始めてきました。
腰回りの組織・構造について
腰の周辺は様々な組織で構成されています。
まずは腰の骨ですね。腰の骨は積み木のように、上から数えて5つの骨で構成されおり、その下には骨盤があります。骨盤自体も大きな骨と関節を含んだ複雑な構造で成り立っています。
また、腰周辺は大小含めて多くの筋肉に覆われていて、上半身から繋がっている筋肉があったり、下半身から骨盤につながった筋肉があったり、股関節から上の方の腰骨まで橋渡ししているような筋肉までついています。
レントゲンで骨だけをみていても腰痛の原因がわからなかった過去があったのも頷けますね。
ここまでの話し読んでみても簡単な構造ではないんだなということが、お分かりになったんではないのかなと思います。
椎間板
腰の骨の間にある椎間板は重さを受け止めるクッションのような役目をしています。
頭から腰までの上半身の重さを受け止めているといっても過言ではないかもしれません。
椎間板は線維輪と呼ばれる何層にも及ぶ線維性の構造物で外側の壁を構成し、中には髄核と呼ばれるゼリー状の物が入っています。
皆さんも良く耳にする椎間板ヘルニアの「ヘルニア」は線維輪の外壁が壊れてしまって、中身のゼリー(髄核)が飛び出てしまっている状態という事です。
この飛び出たゼリー(髄核)が神経に当たって痛みや痺れ、筋力低下などが起こるのです。
椎間関節
人の身体は実に良くできていて、腰の骨もその一つです。後方に腰を反らせていくと、これ以上は反れないなと感じて止まってしまう所が出てくると思います。腰骨の構造をよく見ていくとわかるのですが、反っていくと骨と骨がぶつかり合い、止まるような構造になっているのです。
構造的に止まらないようになってしまうと困る事態があるからです。腰骨の後方からは、足に降りていく神経が出ていくからです。止めずにいつまでも反れてしまうと、神経が挟み込まれてしまいますからね。
また、構造的な問題も生じ易いという側面もあります。例えば、充分な筋力がないが故に、骨同士で衝突が強く起こり、炎症を起こしてしまう事もあるからです。
靭帯
腰骨・骨盤などの骨は上半身を重さに耐えながら、歩くときにはバランスを取りながら、実に複雑な働きをしながら活動をしています。
皆さん理科室の骨格模型を見て事があるかとおもうのですが、あの模型は上から吊るされていますよね。仮にあの模型を外して、床に立たせたとしたら、上手に立たせることは可能でしょうか?無理ですよね?模型を上手に立たせるために手で支えるとどうにかなると思います。この手で支えるという仕事が「筋肉」だと思って下さい。
しかし手で支えても、グラグラして安定しないと思います。そこで登場するのが靭帯です。
靭帯は筋肉より硬い線維性の構造をしており、骨と骨の向き合う関節が、あちこちに曲がったりしないように、止めているバンドのような役目をしています。
ぎっくり腰の原因
前述の腰に関わる組織を含め、ぎっくり腰の原因はいくつかありますが、主な3つはこちらです。
- 筋肉
- 靭帯
- 股関節
①筋肉
ぎっくり腰の原因になりやすい筋肉は3つあります。
- 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
- 腰方形筋(ようほうけいきん)
- 腸腰筋(ちょうようきん)
脊柱起立筋・腰方形筋
肋骨と骨盤を橋渡ししている腰方形筋。一個一個の背骨を、骨盤から頭の方まで何十本という線維で橋渡ししている脊柱起立筋。
立っている時や座っている時に、常に重力に逆らって身体を支えてくれている筋肉です。
また、腰を反らせる動作、捻ったり、横に倒すような動作などでも身体を動かしてくれたり、支えてくれたりしています。
上記のような性質の為、筋肉がつってしまっているような過度の緊張(硬さ)や、筋肉に小さな傷があったりすると、起き上がる瞬間の痛み、長い時間同じ姿勢からの動き始め、身体を動かそうとした時などにぎっくり腰になることがあります。
腸腰筋
身体の深層部にあるインナーマッスルと表現される腸腰筋も、ぎっくり腰の原因になっている事があります。
腸腰筋は歩く動作でよく働きます。歩くだけの仕事ならば良かったのですが、人類が二足歩行を獲得してしまってからは、バランスを取り、身体を支えるという仕事も課されてしまったのです。座っている時でさえ身体を支えないといけないので、腸腰筋はいつも働かなければならないのです。
腰が曲がったまま、伸ばす時にしんどい・ゆっくりやらないと伸びない。このような方は腸腰筋が原因でぎっくり腰になる可能性があります。
②靭帯
腰の骨は、骨盤と頑丈な硬い線維性の靭帯で支えられ、直接つながれています。骨が身体を支える為にも、関節を安定させるためにも靭帯は必要不可欠です。
特に、骨盤の仙腸関節(せんちょうかんせつ)を支える靭帯は、常に体重を支える仕事をしているので、ものすごく強固に硬い線維で出来ています。
靭帯というものは、引っ張られた事を感じるセンサーとしての仕事もあるので、
- 悪い姿勢で立っているだけでズーンと痛む
- 動き出しで痛む
- 動いた後に痛い
このような症状の場合な仙腸関節等の靭帯の可能性があります。
③股関節
Joint by Joint Theory(ジョイント バイ ジョイント セオリー)という言葉があります。
これは簡単に説明しますと、人の身体は、動きたい(可動性の)場所と、安定させて動きたくない(安定性の)場所が交互になっているという考え方です。
股関節は、グルグルと様々な方向に回る構造をしており、動きたい可動性の関節になります。
股関節の動きに直結する筋肉の代表格がおしりの筋肉になります。おしりには多くの筋肉がついて、基本的には、歩行や走るなどの動作に伴って仕事をします。
しかし、現在人は便利な物が溢れ変わってしまった環境や、仕事の変化により座ったまま(動かない)の生活が多くなってしまいました。動かない筋肉は弱くなり、硬くなってしまうのです。
弱くなって、硬くなってしまった筋肉では、可動性の関節である股関節を動かすことが出来ません。
充分に動かす事が出来ない分を、腰が過剰に動かなくてはならなくなり、大きな負担になってしまうのです。
ぎっくり腰になってしまう前の前兆として、
- しばらく股関節周りを大きく動かせていない
- 腰からおしりにかけての筋肉が硬い
- 重だるさや硬い感覚が腰やお尻にある
このような予兆を感じて方は、股関節が原因のギックリ腰もしれませんね。
ぎっくり腰で注意が必要な症状
最後になりますが最も注意しなくてはならない、ぎっくり腰のタイプについて説明します。
ギックリ腰の中には、時々、見過ごしてはならない物があります。
これは医療機関等では「レッドフラッグ」と呼ばれる、とても危険な腰痛になります。
これから記載する症状に当てはまってしまう方は必ず医療機関を受診して下さい。
場合によっては救急車を呼んでも良いかもしれません。
後ろに転倒した際に「尻もち」ついてしまった場合
- 直後より痛み出し、痛くて前屈みが出来ない
- 日常生活を普通送っているだけで我慢出来ない痛みがある
- 65歳以上の女性で、骨粗鬆症と診断されている方
尻もちをつき、上記のような項目が該当する方は背骨が潰れるように折れてしまう「圧迫骨折(あっぱくこっせつ)」をしている可能性があります。
安静時痛でも痛みがある
- 痛み止めを飲んでいるのに全然、痛みが変わらない
- 痛みが強くて冷や汗が止まらない
これらのサインは、とても危険ですので、迷わず病院に行きましょう。背骨や周辺の臓器等に重い病気が隠れている可能性が高いです。
感染による背骨の炎症、背骨の腫瘍、がんの転移、骨髄腫、大動脈の病気、尿管結石などの可能性もゼロではありません。
フルケア狭山接骨院の治療内容
フルケア狭山接骨院では、まず大前提でしっかりと検査をし、ぎっくり腰のタイプ・症状の原因を把握してから最適な治療をプログラムします。
ただ痛みが強く、まずは痛みを取って欲しいというニーズにお応えできるのが「ハイボルト」です。
痛みを軽減・除去するための特殊な専用の電気治療器で、効果の実感が非常に高く、プロスポーツやオリンピックでも活躍する治療器です。
車で例えると、これまでの低周波などの一般的な電気治療器が「乗用車」であれば、ハイボルトは「F1クラス」の性能です。しかし、F1マシンを普通免許で運転できても、性能を十分に活かす事はできません。
ハイボルト治療器も高性能な分、理解や使い方が重要ですが、フルケア狭山接骨院の湯地院長は、日本電気治療協会の公認を受けていますので、正確で効果的なハイボルト治療を受けることができます。
筋肉や関節の硬さが原因のギックリ腰には「メディカルマッサージ」を行います。
また、痛みを取ってからは、普段の身体に使い方や癖に原因がある方は、正しい身体の使い方の指導や、筋力不足が考えられる症状にはトレーニング指導もいたします。
このように、フルケア狭山接骨院では、症状の原因や状態に合わせて最適な施術を行いますので、ぎっくり腰になってしまったら、安心してご来院ください。
よくある質問
Q:ぎっくり腰になった時は病院に行けばいいですか?
A:症状にもよりますが、先に書いた「レッドフラッグ」を思わせるような症状がある時は、必ず病院を受診して下さい。それ以外の方は当院にご来院いただければ、判断の元、医療機関への紹介もできます。
Q:ぎっくり腰の痛みが楽になる寝方はありますか?
A:ぎっくり腰の際に痛みが楽になる寝方のポイントを紹介します。
一つ目は、仰向けで膝を90程度に曲げ、ひざの下に使っていない毛布や布団を丸めて入れる方法です。
膝と股関節が曲がり脱力しやすい形になるので、これが楽だと感じる方も多いでしょう。
場合によってはこの寝方でも痛みを感じる事があります。そんな方はもう一つの方法をご紹介します。
二つ目は、横向きで膝を曲げて寝る方法です。
その際に、膝と膝の間に、抱き枕やクッションを挟むと、両足が綺麗に揃い、骨盤が傾かなくなる為、より安定した楽な状態で休む事が出来ます。
Q:痛いところに湿布を貼ってもいいですか?
A:はい大丈夫ですよ。温める湿布と、冷やす湿布はどちらが良いですかと質問をうけるのですが、実はどちらも温めたり、冷やす効果はありません。消炎鎮痛を目的とした成分が皮膚から吸収されることが目的なので、お好みで大丈夫です。
Q:冷やすのと温めるのはどちらがいいですか?
A:強い痛みを感じた場合には、炎症が伴っている恐れが有りますので、冷やした方が良いでしょう。ただ初日以降は冷やすことは、さほど意味がないので長くても2日目までですね。
さほど強くない痛みの状態ならば、温めて血液の循環を良くした方が、症状の緩和が得られる事が多いです。
Q:ぎっくり腰は癖になりますか?
A:繰り返し癖の様になってしまう方には、必ず原因があります。その原因を突き止めることをせず、放置してしまうことが、癖になってしまう一番の原因になります。しっかりと原因を見定めて、適切な治療をすることが大切です。
Q:マッサージはしない方がいいですか?
A:痛みが強い炎症が強く考えられるような時期にマッサージをしてしまうと、間違いなく悪化してしまいます。適切なタイミングがありますので、しっかりと相談の上、マッサージの必要なタイミングになったら行うことをおすすめします。
Q:ぎっくり腰は労災になりますか?
A:通勤時に痛めた、または業務中に痛めた事が明確な場合は労災の適応になります。
※今回はぎっくり腰の内容ですが、腰痛全般に関する記事はこちらからご覧いただけます。